最先端と伝統の交差点、銀座。
その地にどっかりと根を張る、15番街の人々に話を聞きます。
㈱小寺商店 代表取締役社長
児玉 裕氏
平成15年、義父である先代社長の逝去によって、不動産業を営む「株式会社小寺商店」の代表取締役社長へ就任。
「小寺商店は、大寺にはならぬ」の先代の言葉を銘とし、丁寧できめ細やかな商いを信条としている。
新しきを楽しみ、文化を守る銀座の流儀
小寺商店は明治38年の創業。銀座の旅館の下働きをしていた初代が、地域のご縁の中で土地の仲介をはじめたのが商いのスタートでした。金沢から来た初代、銀座で生まれ育った2代目、3代目を経て、4代目の私は再び、銀座の外から来た社長なんです。
銀座という街を外から見ていた頃は、敷居が高いイメージがあったのですが、実際はまったく違いました。商人の街ですから、人と人との繋がりをとても大切にしていて、私のような外から来た人間も自然体で受け入れてくれる懐の深さを感じます。その反面、街の文化を守ろうという意識も高い。銀座で新しい商売をはじめる方も多くいますが、やはり銀座にそぐわないものはうまくいかないんですね。街自体に文化を守るための自浄能力があるような気もします。「銀座フィルター」なんて言葉もあるくらいです。新しいものを楽しみながら「銀座らしさ」は損なわず、それがこの街の流儀なのかもしれませんね。
街は変化していくものですが、流れの速いこの時代にあってもアナログ的な繋がりを大切にしたいというのが私の想いです。老舗を守り、文化を繋ぐお手伝いができたらと思っているところです。